高回転の吹けがわるい

過去に3件事例があったA110高回転の吹けが悪い問題。

いずれもサーキットユーザーですが高回転の吹け上りが悪く最高速が伸びない。GPF浄化不良警告ランプも点灯するとの事。高回転まで回さずに普通の街乗りだとGPF浄化不良警告ランプも点灯せず、いたって普通に走れるの事でした。

 

原因は予想どおり触媒でした。

 

A110のGPF触媒はメタル系ではないため、連続高負荷運転が続くと触媒を構成するハチの巣状の浄化装置【セル】が溶けたり、欠け・割れなどが発生するケースが多々あります。そのような状態になるとセルが目詰まりを起こしてしまい、高負荷時の燃焼排気ガスを効率よく排出できなくなりキレイに吹けなくなるという症状が発生します。

 

と、同時に触媒の過度な温度上昇や排気ガスを基準値まで浄化できなくなってしまったことを車両センサーが読み取り、チェックランプが点灯するという流れになります。

 

街乗り等の低負荷時は、たとえ触媒(セル)が溶けていたとしてもすべてが溶けている状態でなければわりと普通に走れてしまうため、原因究明がしずらい場合があります。

 

※似た症状で、エンジンが吹けないに加えシフト操作が出来ないなどの場合は、フェールセーフ介入の可能性があります。フェールセーフ介入はこちら

 

触媒が破損する原因は主に2つです。

 

【触媒の温度が上がりすぎる】【排圧が高すぎる】もしくはその両方です。

 

A110の場合、タービンエキゾースト直後に触媒が設置されていることから非常に高い排気温度にさらされています。

また、マフラーの排気効率が悪いため、排圧が非常に高い状態です。

よって、一般的な触媒破損の2要因がそろってしまっています。

特に2020年以降のGPF付きモデルは排気温度を高く維持するような遮熱構成になっているのでなおさらです。

 

では、対策はどうすべきでしょうか?

 

1つは、耐熱温度が高くセル数が少ないメタル触媒に交換すること。できればタービンエキゾーストからの距離を取り、触媒温度も下げる事。

2つ目は排気効率の良いストレート構造のマフラーに交換することです。

 

おおよそ、この2点を改良すればサーキットでの連続高負荷運転でも触媒破損は起こりずらくなります。

 

高回転・高負荷時のブーストの掛かりが普段より悪い(メーター内のブーストメーターでも確認出来ます)場合は、触媒を疑ってみる必要があるかもしれません。

いずれにせよ、自身の車両が普段は【どのギヤ(何速)でどのくらいのエンジン回転数時にどのくらいブーストが掛かっているか】を知っておくことが前提となります。

 

なお、触媒破損は年に一度サーキットに行く程度ではあまり問題とはなりません。

また、峠を攻める程度では全く心配ありません。

 

高頻度でサーキット走行を行い、かつ高回転まで踏み抜けてそれなりのラップを連続で刻める方は注意すべきポイントとなります。